- マイクロライトプレーンに対する法規制
アメリカでウルトラライトプレーン、ヨーロッパでマイクロライトプレーンと呼ばれているが、このマイクロライトと呼ばれているカテゴリーは、一般的に非常に軽量・小型で、動力を有する航空機を総称している。
国際航空連盟(FAI)スポーツ規定でも、一般の飛行機(クラスC)と区別し、マイクロライト・エアークラフトを「最大重量が限定され、又翼面荷重が極めて低く限定されている1人若しくは2人の乗りの飛行機をいう」と定義し、クラスRに分類している。
日本に初めてマイクロライト機が輸入されたのは1970年代初頭であったが、簡易構造の機体で飛ぶその簡便さに飛行機好き人間が飛びつき、全国に広まった。
1983(昭58)年には684機に達し、ブームに沸いた時期があった。
もともと、ハンググライダーにエンジンを付したのが始まりと言われているが、初期のものは非常に簡単な構造であり、愛好者の間では既成の航空機という概念には該当しないとの解釈から、また当時アメリカのウルトラライトプレーンの一部は許可が不要であったこともあり、国内でも自由に飛行することができると考えられていた。
しかし、このマイクロライト機(MLP)が我が国で飛躍的に増加する中で、事故が相次ぎ、また、離着陸場付近の住民から飛行の安全性、騒音等について苦情が出るようになり、国会でも問題になった。
この対応に迫られた運輸省(現、国土交通省)航空局は、1982(昭57)年に通達(空検第188号)を出し、耐空証明を取れないような簡易な機体でも「操縦者が着座姿勢で飛行を行い得る着陸(水)装置、及び動力装置を装備したもの」は、航空法第2条に定義されている「人が乗って航空の用に供する飛行機」の中に含まれるとし、MLPも航空法が適用されることを明らかにした。
- 超軽量動力機の飛行許可
この動力装置を装備した簡易構造の軽量飛行機(MLP)の中で一定の基準を満たす飛行機を、航空局は「超軽量動力機」と名付け、この機体の安全性・操縦資格・飛行場等の許可申請の審査に当たり必要な許可基準を1984(昭59)年度に整備した。
この通達では、航空法の第11条にある試験飛行等の「等」にスポーツ、レクレーションを目的とした飛行を加え、「スポーツ、レクレーションを目的とした飛行を行うため国土交通大臣の許可を得る」形で、耐空証明が取れない機体でも飛行できるとした。
機体の安全性審査に係るサーキュラー(通達)において、「超軽量動力機の特殊性から航空法第10条第4項に規定される基準への適合性の証明が困難であり、その機体構造、各系統及び性能等がスポーツ、レクレーション等を目的とした飛行に適しているもの」のみに適用するとして、許可までの一般方針を定めている。
この他、操縦者や飛行場に係る通達などを併せた許可事務体系により、超軽量動力機は、耐空証明や操縦士ライセンス(技能証明)に代えて、機体の安全性審査や操縦資格認定あるいはフライトエリアや飛行場について、航空法所定(後述)の“例外的な許可”を取れば良いとする日本独自の制度が出来上がった。
一方MLPの中でも重量などが基準を超え、超軽量動力機の要件に該当しない「自作機」については、サーキュラー「自作航空機に関する試験飛行等の許可について」(整理番号No1- 006)で許可までの一般方針を定めているが、超軽量動力機ほどには、許可基準が明確にされていない。 また、このサーキュラーは完成機には適用されないので、海外からMLPとして輸入されても、国内ではその機体の飛行許可取扱いについての対応は定まっておらず、一部に混乱が見られる。
- 超軽量動力機の要件
超軽量動力機に関係する航空局通達(サーキュラー)の中で、航空法第11条第1項但し書の規定による申請に対する許可基準を定める「超軽量動力機又はジャイロプレーンに関する試験飛行等の許可について」(整理番号No.1‐007)では、超軽量動力機の要件を次のように定めている。
- 区分は、舵面操縦型、体重移動操縦型、パラシュート型とする。
- 単座又は複座(2席)であること。
- 自重は、単座のものは180s、複座のものは225s以下であること。
但し、次の装備品を装備する場合はそれぞれの重量分のみ自重が超過しても良い。
- 非常用パラシュートは、11sまでとする。
- 非常用フロートは、全重量とする。
- フロートは28sまでとする。
- 翼面積は10u以上であること。
- パワ・オフ失速速度は、65km/h以下であること。
- 最大水平速度は、185km/h以下であること。
- 推進力はプロペラによって得るものであること。
- 車輪、そり、フロート等の着陸装置又は着水装置を装備したものであること。
- 燃料タンク容量は、30g以下であること。
- 対気速度及び高度を計測できる機器を装備したものであること。
なお、区分にある舵面操縦型とは主翼、尾翼のある飛行機形状のもの、体重移動操縦型とはハンググライダー翼に3輪式の本体を懸架したもので、パラシュート型とはパラグライダー翼に同様の本体を懸架したものである。
- 超軽量動力機で飛ぶために
超軽量動力機に乗って空を楽しむためには、航空法に基づき、1:機体、2:操縦者、3:飛行場所について、以下の国土交通省航空局の許可が必要である。
- 「試験飛行等の飛行許可」(航空法第11条第1項ただし書)
航空機は耐空証明を受ける必要があるが、MLPは、強度・構造・性能といった安全性を確保するための技術上の基準に適合していることを証明するのが難しい。このため耐空証明に代わり航空法第11条第1項ただし書の規定に基づき試験飛行等を行うための許可を受けるという形で飛行許可を取得する。
手続き的には、超軽量動力機等登録申請書を提出して識別記号通知書の交付を受け、識別記号を付した機体について「試験飛行等」を行って良いかの許可申請を行う。因みに、超軽量動力機にはJR0000の記号となるが、自作機にはJX0000が、ジャイロプレーンにはJE0000が付される。
- 「航空法第28条第3項の許可手続きについて」
航空法第28条第1項に技能証明を有する者でなければ航空機の操縦を行ってはならないとあるが、超軽量動力機は前号に示されるように試験飛行等のための飛行許可を受ける飛行機なので、同条第3項の規定に基づき、地方航空局長から技能証明ならぬ「技量習得確認書」を取得して飛行する。 このため技能証明の保有者であっても、訓練は短縮されるものの「技量習得確認書」は別に取得しなければならない。
この許可により、飛行場を中心に半径3km以内の場周空域が飛行可能空域となる。なお2001(平13)年度に特定の条件の下で9kmまでの拡張空域の飛行が可能となり、同一の許可空域内だけであるが複数の離着陸場の使用、二地点間の飛行も可能となった。
- 「航空法第79条ただし書の規定による許可事務」
超軽量動力機は航空無線を装備することが出来ないこともあり、一般の飛行場で離着陸することは出来ない。 そのため、法第79条ただし書の規定による国土交通大臣の許可を受けた場外離着陸場を使用することになる。
場外離着陸場の広さや、周辺の障害物とのクリアランスは、一般の航空機にも適用される運航情報業務処理規程にある「U-VT-9法79条ただし書の規定による許可事務」規定を基準とし、それに加え「超軽量動力機に係る場周空域内の飛行に必要な範囲の考え方について」(局内事務連絡−昭和59年6月)をガイドラインとして、各地の空港事務所で審査・許可されている。
なお、前記同様、航空無線の関係で、超軽量動力機は管制区、情報圏、管制圏などの飛行は許可されない。
- 国際競技への参加
国際航空連盟では、世界共通で公正な競技が行えるようエア・スポーツのクラス分けをしている。 その分類の一つである Class Rには、マイクロライト・エアークラフト及びパワード・パラグライダー( Microlight Aircraft and Powered Paragliders )が割り振られている。この 「R」カテゴリーは、舵面操縦型、体重移動操縦型、パラシュート型のほか、操縦者が自分の脚力のみで離着陸するフットランチ式の機体(動力付ハンググライダー・パラグライダー)などに区分し、航空スポーツの記録、競技会等を行っている。
また、マイクロライト・エアークラフトの定義を、ミニマムスピード 65km/h 以下、最大離陸重量が単座300kg(水上型330kg)、複座450kg(水上型495Kg)以下としている。